NBC長崎放送

2023/03/08/11:38

シンクながさきコラム「地域公共交通再構築元年」

毎週月曜日は、シンクながさき ながさき地域政策研究所の皆さんのコラムをお送りしています✨

3月6日は、熊亮太 研究員 にお話を伺いました💻


「地域公共交通再構築元年」

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、地域の公共交通機関は、利用者が減少しそれに伴い採算性が悪化さらに利便性が低くなるというように負のスパイラルが出来上がっています。

 

私の家族は市の中心部から外れたところに居住しているのですが、コミュニティバスが通っておらず買い物に行くことさえも一苦労です。コミュニティバスの路線範囲を拡充して欲しいと思うのですが、運航事業者にとっては維持することさえままならないのに拡充することはさらに厳しいのが現状です。

 

高齢者による自動車事故の発生が多くなっており、公共交通の縮小に伴う買い物難民が生じている中、交通弱者を作らないように赤字路線でもおおむね維持してきた交通事業者ですが、その頑張りだけでは交通システムが維持できないようになってきております。
 少子高齢化が進む我が国では地域公共交通のあり方を検討することは待ったなしの状況です。

 

そのため、国も動き始めています。

新年最初の閣議後の記者会見で、国土交通大臣が
 2023年を「地域公共交通再構築元年」の年にしていきたいと話しました。

新年度予算案では、それを具体化する事業が予算計上されており、
 そのうちの一つが「エリア一括協定運行事業」の創設です。

 

これは、あるエリアで重複している交通機関の一括化を図る取組みで、
例えば・・・
路線バス・コミュニティバス・病院バス・スクールバス・企業送迎バスというような様々な交通モードが重複しているエリア内で、自治体と交通事業者が協議を費用負担や役割分担を明記した協定を締結し、路線バスへ統合を図った際、国が締結期間内において予算面で支援する事業です。

地方公共団体の間でも、コミュニティバス、スクールバス、公立病院の送迎バスというように担当課が異なることで非効率な運行が生じているので、改善のきっかけになるかもしれません。官と民で効率化を図り、地域の公共交通を維持していこうという国の考えが理解できます。

 

この他にも、昨年8月に国の有識者検討会で、運賃収入と自治体の補助金で維持してきた今までのビジネスモデルでは地域交通が成り立たなくなった地域において、地域交通を医療・介護や子育て・教育、エネルギーなど他分野との連携を推進すべきとの提言が示されました。

 

これについては、具体的な取組みを進めている自治体があります。
香川県の三豊市というところですが、「共助」をキーワードに、
地元交通事業者だけに任せない新しい交通システム「mobi」を構築しています。

タクシー業、建材業・不動産業、スーパーマーケットなど計12社が発起人となって交通会社を設立し、買い物と教育といった地域の生活サービスと交通システムを掛け合わせた月額のサブスクリプションプランを作ることで、利用者と地域事業者のニーズを踏まえたお互いにWin-Winな持続可能なサービスが作られています。いろいろプランはありますが、通常プランですと30日間6,000円でエリア内178箇所でタクシーのような車を乗り放題できます。
スーパーの前に乗降箇所が設定されているので、車がないから買物できない、親御さんが仕事で送り迎えが厳しいから習い事ができないといった、地方の抱える問題を解決できるシステムです。
出資している事業者さんもmobiを使ってお客様が来ますので、お互いにとってWin-Winです。このシステムは三豊市の他に全国11都市で運営されていて、北海道、秋田、愛媛の市で展開されています。

 

ちなみにですが、
 佐賀県及び長崎県でも地域公共交通の再編に向けた動きがあります。

佐賀県
では予約制乗合タクシーを実施している市町があり、県全体の地域公共交通計画が策定されております。

長崎市も今年の1月から3月末にかけて路線バスの運行が無い地区(鳴滝地区)において、予約制の乗合タクシー導入実証実験を行っております。
このデマンドタクシーと先ほど紹介した交通システムmobiの違いは、mobiはサブスクリプションであることから月額乗り放題、エリア内で多く設定されているスポット内であればどこでも乗り降りができること、交通事業者だけではなく地域の民間事業者と連携していることです。

 

これからの地域交通のあり方を考えた時、これまでの運賃収入と行政の補助金で維持してきたビジネスモデルの交通システムは人口減少や新型コロナによる利用者減少により、限界を迎えつつあります。私たちの生活に密接な地域交通を維持していくためにも、官と民の連携、さらに交通事業者以外の民間事業者との連携が重要なものになっていきます。それにより、自分が生まれ育った場所、数十年生活してきた場所で、人生の最期を生きていくことのできる社会ができるものと思います。

 

2023年が「地域公共交通再構築元年」の年になり今後の社会においても地域交通が維持されるよう、取組みを注視していきたいと思います。

 


次回もお楽しみに🎵

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