NBC長崎放送

2022/08/01/13:46

惨事報道を見る、目にすることによるストレス~情報との向き合い方

目を覆いたくなるような衝撃的な映像。耳を疑うような悲しい出来事。
現代はこうした情報を、容易に、時にはリアルタイムで手に入れることができるようになりました。

テレビ・ラジオ・新聞に加え、スマートフォンやSNSの発達により情報量が増える中で、
「衝撃的な映像や音などを繰り返し視聴することは、ストレスを高めてしまう」ことがあります。
わたしたちは、情報とどう向き合ったらよいのでしょうか?

日本トラウマティック・ストレス学会 副会長 で、
筑波大学 災害・地域精神医学 高橋 晶 准教授 に伺いました。


Q.安倍元首相が銃撃された瞬間の映像を繰り返し目にした人は少なくありません。
その心理を精神科医としてどのように分析されていますか?

著名人など、直接会ったことはなくても知っている人が亡くなることは
心に非常に強い影響を与えることは以前から知られています。
今回は衝撃的な映像が繰り返し流されることがありましたので、
その結果強く影響を受けている方はいらっしゃいます。
今回の事件だけではなく、過去の災害やテロでも同じように
衝撃的な映像が何度も長時間流れている事があり、同じ事が言えます。

Q.ストレスを受けやすい人はどんなタイプ?

動物としての人間は恐怖に見舞われた際に、本能で逃げるか戦うかを選択します。
五感を使って全身で恐怖と向き合うため、映像や音などが記憶として残ることがあります。
強い恐怖体験をした人は、その時の感情と記憶が一緒に脳の中に入っているので、
それが出てきてしまう、ぶり返すということは起こると思います。
また、同じ境遇にある人や精神的に不安の影響を受けやすい人、
こどもなど恐怖を言葉でうまく表現できない人はストレスを受けやすいということが言えます。

Q.情報量が増える中で、ストレスを受ける人は増えているのでしょうか?

テレビ・ラジオ・新聞だけでなく、ソーシャルメディアなど様々なツールが出来ている中で
情報の統制がとれないことも実際に多いことがあります。
例えば現在のウクライナ侵攻を含めて言うと、
遺体などショッキングな映像が制限なく出てくることもあります。
こうした映像が簡単に拡散されてしまうため、
見たいと思わなくても目に入ってしまうことが増えている。
望んでいる以上に情報が自分の元にきてしまうことでストレスが強くなることもあるのです。

Q.ストレスをよい緩和させる方法はありますか?

まずは頻繁に衝撃的な映像などを見ないように自分で制限をすることです。
なんとなくご飯を見ながらこういう報道をテレビを見てしまうこともあまりよくありません。
また、きちんと寝ることも必要です。
不安が強くなると寝付けなくなったりして、眠れなくなったりします。
体と心が緊張していることがあるので、体をほぐすことや、
体を冷やしすぎる事なく、体を温めることを意識して、
深呼吸して、ゆっくり眠るようにしましょう。
あと、元気になろうとしてカフェインが多く入っている飲物を慣れていない人が飲みすぎると
不安が高まり、また眠れなくなることがあります。
コーヒーなどは飲みすぎないように、また夕方以降は飲まないよう心掛けたり、
刺激物をとりすぎたりしないようにしましょう。

いまは情報が希望する、しないに関わらず、向こうからどんどん入ってきてしまう時代です。
「メディア・SNSに触れる機会を1日1回にする」など決まりを作り、
「安全な情報ソースから情報を選んで確認する」など自らを制限することが、
強いストレスを感じすぎないようにして、元気に生活する上で、我々に求められているのかなと思います。

radikoタイムフリーでも 8月5日(金)まで聞くことができます。
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