NBC長崎放送

2023/07/20/11:35

シンクながさきコラム「長崎での21年を振り返って」

毎週月曜日は、シンクながさき ながさき地域政策研究所の皆さんのコラムをお送りしています✨

 7月17日は、菊森淳文さんにお話を伺いました💻


今日は、「長崎の21年間を振り返って」と題してお話しさせて頂きます。

私がながさき地域政策研究所の調査研究部長として、日本総研の主席研究員から、ながさき地域政策研究所にために来たのが、今から21年前の2002年10月1日でした。当研究所は県内の自治体の合併計画策定をお手伝いするところから業務が始まりました。

平成の大合併は、1999年から政府主導で行われ、自治体が広域化することで、行財政基盤を強化し、地方分権の推進に対応することを目的としていました。2003年以前には長崎県の自治体数は79市町村ありましたが、2010年3月31日には、全21市町村に減少しました。私自身も、対馬市・雲仙市などの行財政改革推進委員会の委員長を務めさせて頂くなど、県・市一体となって財政改革に取り組んだ時代でした。実際にこのまま推移したら財政破綻していたであろう町もありましたから、市町村合併は、一定の役割を果たしたと思います。

全国的に有名になりました、夕張市が財政破綻したのは2007年でしたから、長崎県はその前に殆どの市町村合併を終えていたことになります。スピーデイーな合併だったことになります。

ほかに印象的な出来事は新幹線西九州ルートの建設でしたね。当時は、多くの市民が財政を理由に反対していた時期でした。でも田上市長は、新幹線建設を推進して来られましたし、長崎県全体にとって正しい進め方であったと思います。

長崎県の観光を変える大きな要因となったのは、二つの「世界遺産登録」でした。すなわち、①明治日本の産業革命遺産、②長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産、が世界遺産に世界遺産に登録されました。特に①明治日本の産業革命遺産は、長崎県・佐賀県だけでなく、福岡県・熊本県・鹿児島県にまたがる、世界遺産です。②長崎と天草地方の潜在キリシタン関連遺産は、長崎県・熊本県をカバーする世界遺産です。長崎県・佐賀県で世界遺産が登録されたことで、地域の環境資源に意味づけが行われ、世界から観光客が集まる可能性が集まるようになりました。

最近20年間に地域を大きく変える、制度変更やハード・ソフト事業が行われて来ました。その例が、大村競艇場の経営革新と建替えです。競艇は公営ギャンブルの一つで、地域の需要を満たす公的な事業という印象が強いですが、大村競艇は、大村市経済財政だけでなく、競艇にかかわる市町に大きな経済的なメリットをもたらします。

大村市の財政破綻が懸念されていた2002年当時、競艇場の経営は、全国24場中最下位でしたが、今や全国でトップの売上(1,097億円)を出しています。これは、場内販売だけでなく、ネット投票・電話投票を含めた売上が伸びたからです。必ずしも人口密集地帯でなくとも舟券売り上げを上げることができるようになったのです。

地方創生が成功するために必要なことは何でしょうか?地域を変えるプロジェクトを戦略的に起こし、ハードもソフトも確実に成功させて行くことだと思います。

地域に対する「想い」と、プロジェクトを企画・実行する能力を地元が発揮することがますます重要になります。国の制度も活用しながら、地域を変えていく知恵が必要になります。


次回もお楽しみに🎵

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