NBC長崎放送

2022/01/11/20:00

シンクながさきコラム「介護現場におけるロボット・ICT活用」

毎週火曜日は、シンクながさき ながさき地域政策研究所の皆さんにお話を伺っています✨
1月11日は、専任研究員の濵崎竜之介さんにお話を伺いました😊

テーマは「介護現場におけるロボット・ICT活用」

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2019年に介護ロボットに特化した新たな介護資格「スマート介護士」資格について紹介しましたが、
さらに介護におけるロボットやICTが重要視されてきています。

日本では、3年ごとに介護報酬制度の見直しが行われており、昨年がその改定時期でした。
介護報酬は、介護サービスを提供する事業者に国から支払われる報酬で、
サービスをどのように提供するかで報酬が変わります。昨年の改定で、介護現場のICT化、
介護ロボットの導入による業務効率化を取組む事業者に対して、加算が付くようになりました。
少子高齢化が進み労働力が不足する中で、
増加する高齢者への介護サービスの質を維持・向上させるための手段として、
国を挙げて介護現場におけるロボットやICTの活用を推進しています。

●介護ロボット・ICTとは?

二足歩行の人型ロボットが介護を行う、といったイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、
介護ロボットは装置のようなものも含まれますので、残念ながら見た目はロボットっぽくないものが多いです。
例えば、ベッドから車いすなどに利用者を移動させる「移乗支援」の介護ロボットは装置のようなものですし、
利用者の状態を観察する「見守り」のICT機器は、センサーマットとパソコンといった具合です。

介護ロボットは、「移乗支援」や「見守り」など、6分野13項目に定義されており、様々なものがあります。

●どの機器を導入するのか、選ぶのが大変

介護に限らず、様々な分野でも共通の悩みかもしれません。店舗等の小売業においても、
様々な支払い方法があり、レジの種類も豊富にあります。オンライン会議でも色々なツールがあり、
どれが自分に合ったツールなのか迷ってしまうこともあると思います。

しかし、重要なのは「ロボットやICT機器はあくまでツールである」ということ忘れないことと考えています。
介護は、人と人がふれあい、利用者に質の高いサービスを提供することが大前提となります。
施設利用者の特性、提供するサービスの種類、従事するスタッフの経験などによって
適切な機器を選ぶ目が必要になります。大工さんが、作るもの、
材料や施工方法によって道具を変えるのと同じ、と捉えて頂きたいと思います。

●どのような分野にニーズが高いか

介護サービスの種類や、利用者の健康状態や施設の規模などによってニーズは様々ですが、
コロナ禍において「非接触」「接触機会の削減」という面で、介護ロボットに注目が集まりました。
特に、職員が直接ご利用者に触れずにサポートできる「非接触型」の移乗支援や、
ご利用者の部屋を訪問する機会を減らすことが可能な「見守り」といった分野は注目度が高かったようです。
新型コロナウイルス感染拡大防止に繋がるとして、通常の介護ロボット導入支援に加えて、
長崎県では、感染拡大防止として介護ロボットを導入するための補助が行われました。
この補助事業で介護ロボット・ICT機器を導入された介護施設さんも多いのではないかと思います。

●佐賀、長崎の導入状況は?

佐賀県では令和2年4月に調査が行われており、
回答した施設全体の14.9%が介護ロボット・ICT機器を導入しています。
「入浴支援」や「見守り」の機器を導入している施設が比較的多いようです。

長崎県では令和3年7月に調査が行われており、
回答した施設全体の41.3%が介護ロボット・ICT機器を導入している、という調査結果になっています。
これは、感染予防対策として実施された導入補助も影響していると考えられます。H30年の調査では、
16.2%でしたので、25ポイント導入率が上がっていることになります。
長崎では「介護業務支援」や「見守り」といった分野の導入が進んでいます。

●直接介護ロボットやICT機器を体験できる場所は?

佐賀県では「佐賀県在宅生活サポートセンター」でリフトなどを見ることができます。
また、国の事業で福岡県北九州市に九州介護ロボット開発・実証・普及促進センターという
介護ロボット専門の施設が設置されています。

介護ロボット・ICTの導入や機種の選定には、介護施設の数や規模、人材といった資源の違い、離島など、
生活環境の違いも影響していると考えられます。

それぞれの地域、施設の特性に合わせて、必要な介護ロボットやICT技術の活用が今後も進んでいくと
考えられます。これからの介護を支える人たちには、上手に介護ロボットやICT技術を活用してもらい、
介護業務の負担を軽減しながらも、”人のぬくもり”が感じられる介護ができる未来を
支えていただきたいと思います。

※図1「介護ロボット 6分野13項目」
(出典)厚生労働省「介護ロボットの開発と普及のための取り組み」

シンクながさきのWEBサイトもご覧ください💻

http://www.think-nagasaki.or.jp/column/detail.php?id=82

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次回もお楽しみに☆

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